Interview 03

プライベートも充実させながら
研究スピードを2倍に

文化情報学部准教授
井本 桂右さん

研究が遅れてしまう危機感を抱くなか見つけた
リサーチライフ支援制度

Q1普段の1日の流れを教えてください。

朝は子どもを送ったあと、9時半までに出勤しています。1日に行う講義は大体2コマ。それ以外の5時間程度のなかで次の講義の準備や研究室の学生指導をしつつ、自身の研究を行うのが日課です。府外に住んでいるため通勤に往復2~3時間かかってしまうこともあり、大学に滞在できる時間がかなり限られているなかで、日々研究を進めています。

Q2研究内容を教えてください。また、支援制度を利用する前に研究と子育ての両立に不安を感じていましたか?

音声、音楽、環境音などあらゆる音を理解する人工聴覚機器や、自在に音を創造する音生成AIの実現を研究テーマにしています。そのなかで特に大事にしていることは、「データの収集」です。高度な音生成AI実現のために重要なのが、音や映像といった機械に学習させるデータの量や質。だからこそ手間をかけて採集するのですが、その分まとまった時間が必要です。

そのため、限られた時間のなかで、充分に作業ができそうな日を見繕ってスケジュールを立てています。ただ、子どもの体調不良など、プライベート面の影響で急なスケジュール変更が発生することもしばしばあります。研究のアイデアは隙間時間にでも考えられますが、データの収集はそうはいかないうえ、このステップが遅れると研究全体がかなり後ろ倒しになってしまう。こうしたリスクへの危機感を抱いていたなか見つけたのが、リサーチライフ支援制度でした。

Q3リサーチライフ支援制度とはどのような制度ですか?また、どのように活用していますか?

教員が妊娠や育児といった「プライベート」と「研究」を両立できるよう、研究を補助してくれるリサーチ・アシスタント又はアルバイト職員を雇うための助成金がもらえる制度です。この制度の存在は、学部事務室から全教員に送信される制度案内メールで知りました。(恐らく全学部で案内されていると思いますので、見落とした方は確認してみてください。)その後、自分が助成の条件を満たすことが分かり、すぐに申請。無事に認可が下り、自身の研究室内の学生や近い分野を研究している学生に手伝ってもらえることになりました。

制度の利用で課題を払拭。研究もプライベートも充実した日々に。

Q4学生アルバイトには何を手伝ってもらっていますか?また、学生に研究の一部を任せることに対して何か工夫していることはありますか?

学生には、主にデータの収集を手伝ってもらっています。データの収集には2つの工程があるのですが、一つは現地で音や映像を集めてくるもの。もう一つは、集めてきたデータ一つひとつが何のデータなのかをラベル付けするというものです。どちらの作業も、先述の通り質と量の両方が求められるため、まとまった時間が必要になります。だからこそ、自分が対応できない日にも、進めてもらえることがとても助けになっています。
なかには、学生に研究の一部を任せることに不安がある方もいるかもしれません。しかし、自分の研究室に所属している学生や近しい研究をしている学生を対象とすることで、少しの指導で問題なく手伝ってもらうことができます。加えて、充実した通信環境を活用することで、何か困ったことがあればオンラインで指導することもできる。こういった環境のおかげで、自分がその場にいなくても、問題なく研究が進められる環境を形成できています。

Q5制度を利用して良かったと感じた点を挙げてください。

時間を要する実験を分担でき、スケジュールの調整が容易になったことです。そのおかげで研究が滞ることなく進むようになり、論文執筆のペースが大幅に向上。以前は年に3,4本のペースで提出していた国際会議用の論文は、今では年に7~8本程度提出できるようになり、充実したリサーチライフを送れています。

また、メリットを感じるのは研究面だけではありません。スケジュール調整が容易になったことにより、「研究に時間を費やす日」と「早く帰って家族と過ごす日」のメリハリをつけられるようになったことも良かったと感じています。特に、子どもの夏休み期間は、以前までは毎日学童に預けていましたが、今では月に数回は家で一緒に過ごすことができています。そのおかげで、家族との思い出が増え、研究面と共にプライベートもとても充実しています。

Q6最後に、同じく子育てしながら研究に取り組まれている方々へのメッセージをお願いします。

同志社大学に入職する前、いくつかの職場を経験してきました。時代的な要因もありますが、職場によってはリサーチライフに関わる支援制度がないことも。また制度自体はあっても周囲の誰も利用しないため、申請し辛い所もありました。しかし、同志社大学では制度が充実しているだけでなく、周りの先生方や事務の方々が相談に乗ってくださり柔軟に対応してくれます。研究と育児の両立を応援してくれる思いやりに溢れた環境が整っている場所なのです。
研究と子育ての両立はとても大変で、自分だけの努力だけでは乗り越えることは難しいでしょう。ぜひ、こういった制度や環境を充分に活用して、共に充実したリサーチライフを送りましょう。

Interview 02

周りの理解があったからこそ、
人生で一度きりの瞬間に立ち会えた

産後パパ育休編

Read more

文部科学省 令和3年度科学技術人材育成費補助事業 「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(調査分析)」に選定